2025年6月14日、『猫にご用心 知られざる猫文学の世界』の刊行を記念し、トークイベント「猫と小説と、AI時代のことばのゆくえ」を開催いたしました。
会場の神楽坂「コ本や」さんには、本と猫と未来のことばに関心を寄せる多くの方々が集い、満席の中、約2時間にわたって濃密な対話が繰り広げられました。 ご来場くださった皆さま、誠にありがとうございました。
当日は、翻訳家・大久保ゆうさんと書評家・倉本さおりさんをお迎えし、16世紀の怪奇譚『猫にご用心』を起点に、猫と文学の深い関係、翻訳という営みの奥行き、そしてAI時代における「ことば」のあり方についてじっくりと語っていただきました。
まずはおふたりによる“おすすめ猫本”の紹介からスタート。漫画から古典文学までジャンルは幅広く、猫への深い愛情と読書のよろこびがたっぷり詰まったトークに、会場はあたたかな空気に包まれました。
続いて、『猫にご用心 知られざる猫文学の世界』をめぐるディスカッションでは、「世界で初めて英語で書かれた小説」とも言われるこの作品の魅力を、倉本さんの軽妙かつ深い解説とともに深掘り。聴く人すべてが“小説の源流をたどる面白さ”や“読む楽しさ”を再発見するひとときとなりました。
最後はAIと翻訳、さらには読書の未来へと話題が展開。AI時代における「読む」という行為の変容、そして“ことばとどう向き合うか”という問いについて、大久保さんと倉本さんに示唆に富んだお話をいただきました。
「迂回する読書」を楽しむ豊かさ、そして“ことばのゆくえ”に思いを馳せる——そんな知的で静かな熱に満ちた時間になったと思います。また、イベントに癒しを提供いただいた倉本さんの愛猫のおふたりにも感謝申し上げます。