dao-dao(ソヨゴ編集部)
日本印刷社員。soyogoとhon amiという2つの新ブランドを立ち上げて、事業を軌道に乗せるべく日々試行錯誤を続けながら、土日は子守りに奮闘中。
世の中には様々な業界があり、それらを束ねる団体が存在します。
弊社、日本印刷株式会社のお客様の大半がこの団体なのですが、名前を見ているだけでも結構楽しかったりします。
たとえば「人工知能学会」。今、世界で最も話題になっている分野といってもいいかもしれない「人工知能」。ここの学会誌を開けば驚きの未来が描かれているのかも?
あるいは「日本照明家協会」。照明家って、舞台やテレビといった現場で活躍されている職人さんのことだろうか。普段は表に出てこない人々はどうやって華やかな舞台を支えているのか‥‥‥。
などなど、挙げていくとキリがないのですが、とにかく様々な団体が存在しているわけです。
多くの団体が月刊誌や隔月誌といった定期刊行物を発刊しているのですが、それらは基本的に会員のみに配布される媒体なので、一般の人の目に触れることはありません。触れたとしても、専門的すぎて読んでもよく分からない、なんてこともありえます。
面白そうな仕事や学問の世界がこんなにたくさんあるのに、この状況はなんだかもったいないな、という思いがこのsoyogoをつくるきっかけです。知られざる世界の面白さを様々な表現方法で発信したいと考えていて、その中のひとつが「小説」でした。その第1弾として制作した作品が『害なすモノは眠らない』です。「ペストコントロール技術者」という職業を素材としたサスペンス小説で、ミステリー作家の喜多喜久さんに、とても楽しいエンタメ小説に仕上げていただきました。
小説の第2弾を考えていたとき、純文学系の作家さんはこの企画でどんな小説を書かれるのだろう、という興味が湧いてきて、真っ先に思い浮かんだのが乗代雄介さんでした。
すでに何度も芥川賞候補となり、数々の文学賞を受賞されている乗代さんの作品の魅力をここに書くのもおこがましいのですが、克明な情景描写や登場人物の繊細な心理の描き方などが本当に素晴らしく、とにかく、「乗代さんは、こういうニッチなテーマにご興味を持っていただけるのでは」と勝手に考えて企画提案をしてみることにしたのです。
また、ウェブサイト「家庭画報.com」の乗代さんのインタビュー記事も印象に残っていました。
『僕が出かけて風景描写をするのは、人が滅多に行かないような場所です。図書館に行くと、土地の記録を残すための仕事をしてきた方がいると知れますが、忘れられ、消えてゆくものはそれ以上にある。それが悔しくて、人知れない場所の記録をできるだけ残しておきたいという気持ちは強いです。』
(出典:https://www.kateigaho.com/article/detail/99306)
文章を書くことに対する乗代さんの想いは、今回の企画にも通じるものがあるのでは、とも感じられたのです。
何の実績もない印刷会社の新しい企画だったのですが、乗代さんにご快諾いただけて、本当に感謝しています。
さて、乗代さんはどんな業界に興味を持たれるのか、様々な選択肢をご提示したのですが、最初の舞台として乗代さんが選ばれたのが「港」でした。そして、港は港でも「浚渫(しゅんせつ)」というお仕事にご興味があるとのこと。
しゅんせつ? 初めて聞く言葉が飛び出して、早速資料集めを始めたのでした。
(第1回 おわり)
日本印刷社員。soyogoとhon amiという2つの新ブランドを立ち上げて、事業を軌道に乗せるべく日々試行錯誤を続けながら、土日は子守りに奮闘中。